現役の夏ごろ、スタディサプリに出会った。
当時(2016年)はまだ名称が「受験サプリ」で、CMもバンバン見かけるというほどではなかった。
それまで存在は認知していたが、「月額980円でプロ講師の授業を受け放題」という宣伝文句が胡散臭くて、目にも止めていなかった。
だが、当時の私は成績が上がらなくて、予備校に通おうにも経済的に不可能だった。
だから、藁をもすがる思いで登録した。
半信半疑、いや、9割9分疑っていたが、そんな先入観はすぐに覆されることとなる。
最初に受講したのは英文法の講座だった。
これが”関正夫”という名前を初めて目にした日だった。
関正夫の人気の理由
今や参考書コーナーの大半を席捲する彼だが、何が彼をそこまで人気者にたらしめたのか。
私なりに思ったことを書いてみる。
革命的な授業内容を発信…したわけではない。
彼は「脱・丸暗記英語」を掲げ、さも「全く暗記が必要ない魔法の勉強法」を提供しているように思われがちだが、それは全くの誤解だ。
あくまで”丸”暗記の否定だ。暗記は必要だが、それを激減させる方法(彼はそれを「正しい英語」と言っている)を提供するよ、と彼は言っているのだ。
例えば、時制。
「現在形には3つの用法があって~…①現在の事実・状態、習慣的動作②不変の真理③確定的な未来の予定~」
というような従来の教科書や参考書の、長ったらしくて、英語の本質を無視した丸暗記の強要を否定し、
「現在形は現在・過去・未来形である」と端的に断言したのである。
詳しい解説は直接彼の動画を確認してほしいが、私は深く納得し、感動さえ覚えた。
そして、彼の教えの通りに「脱・丸暗記英語」を実践した結果、センター英語は2か月ほどで40点アップ。宅浪時は196点まで上げることが出来た。
もちろん、「メガフェプス」とか、よく分からないゴリ押しの丸暗記は一度もしていない。
さて、その「脱・丸暗記英語」の内容は彼が生み出した独自の技術で専売特許なのかというと、そうではない。
多くの予備校でも、同じような内容の授業はされていたというし、参考書コーナーには似通った解説のものが既に存在する。
それはきっと彼が本質を語っているからであり、全国の英語のプロフェッショナルからすれば、特に目新しいものではなく、共通の認識だったのであろう。
日本的で、非効率で慣習的な丸暗記英語の陰に隠れていたその共通の認識を、彼はただ誰よりもデカい声で宣伝しただけなのである。
だが、ここが大事なのだ。凝り固まった受験業界に一石を投じるべく、月額980円という破格で全国の受験生に英語の真理を振りまく。
これは天下のリクルート様と、カリスマ的な講師陣でこそ成せたものである。
彼は今、「自分は間違いなく日本で一番多くの生徒数を抱えている」と豪語する。
アンチでも否定しようのない事実だ。
この姿をみて教祖と呼ばずして何と捉えよう。
そんなことを考えているうちに、私もその教団の一員となり、関正夫信者となったのだ。
そして私は悔いた。
「もっと早く出会っていれば。」
「自分に合った勉強法」
「守破離」という言葉がある。
まずは師の下で教えを守り、学んだ”型”を自分なりに研究する。
それから、より良いと思われる型を作ることで既存の型を破り、やがて型から離れ、自由になるという言葉だ。
この思想をもって我が国の文化・芸術は発展してきたわけだが、受験勉強にも通ずるところがあるように思う。
「大学」というものは、学術界で何が議論されているのかを学ぶ場(学部)であり、自分なりの信念を持って研究を進める場(院)である。
つまり、守破離で言えば「守」と「破」の局面に位置するのだ。
医学部では6年間「守」に徹することも必要とされる。
「自分に合った勉強法があるはずだ!」
などと言って、学校や予備校の教師をひたすら批判して肝心の勉強をしない受験生を散見する。
学部に入ってからでも「守」の立場、いや、大学に入ってようやく学びたいことを学べるようになるのだ。
受験生活ではその基礎を作っているに過ぎない。
つまり、修行僧になるための修行をしているのだ。
そんなやつが、ろくに勉強もせず、「自分に合った公立的な勉強法」を探すなんて、傲慢が過ぎるし、受験という短期決戦で探し当てるのは至難の技である。
仮に効率的な勉強法を見つけたとして、そこから量をこなさなければ、点数は取れない。
点数が取れなければ合格はない。
そうして私は合格できなかったのだ。
受験生よ、効率を求めることは重要なことであるが、それをするにはあまりにも時間が無く、無知すぎる。
まずは信頼出来る師を見つけ、師事してみることではないか。
それが関正夫でも、林修でも誰でも良い。
とにかく勉強、勉強だ。
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