宅浪落ちた。

宅浪して落ちたワイ。成功した人のオ〇ニー日記に飽きた人へ。

宅浪失敗記⑪最終回。宅浪が落ちた日。

勝負の1か月。メンタルが完全にイかれる。

あれだけセンターが良かったら、イキイキと勉強できて当然でしょう?

 

そう思いますよね。

 

「何よりもまずセンターが良ければ勢いで行ける!」

 

私もそう思っていたのですが、現実とはうまくいかないもので、、、

 

センターを終えて1週間ほどは普通に勉強していましたが、次第に集中できない日が続いてきます。

 

「あんだけセンター取ってB判定かよ…」

 

「今年は予想以上に競争が厳しいかも」

 

「俺なんかの記述力で戦えるのか?」

 

「一年間も勉強して落ちたらどうしよう…」

 

「こんな苦労も誰にも理解されることなくバカにされるんやろな」

 

「『よく頑張ったよ!』とか言われながら内心で見下されるんやろな」

 

「カネ出してくれてる親にも、脳梗塞で入院したじいちゃん、無条件でこんなクズを愛してくれているばあちゃん、大学に行っても努力を続けている友達にも、高校の恩師にも、誰にも顔を合わせることが出来ない…」

 

そんなことを考え始めてしまうと、息が苦しくなってきて、だんだんと視界が狭くなり、手が震え始める。

 

今まで人生で味わったことのない、見えない恐怖と不安で思考が停止し、急激な眠気が襲ってくる。

 

1月28日 何も、出来なくなった。

 

本当に、何もできない。身体が動かない。

 

信じられないとは思いますが、本当にこの時の記憶はなくて、ただ布団の中の暗闇の中にいたことしか覚えていません。

 

今が何日の何曜日で何時なのか、昼なのか夜なのかも分からなくなり、ただただ恐怖に怯えていました。

 

泣いて、泣いて、泣いて、

 

立ち上がったのは13日後。

 

2/10、日記が更新されます。

 

やけくそでペンを握り始めました。

気持ちだけが進んでくのに 理想は遠く追いつけそうにない

暗闇を目隠ししたまま ひたすら前にあてもなく

 

それでも走ってるときだけは、夢に向かって進んでるようで

ときどき目から水がこぼれるけど それも幸せだと思えてるよ

 

努力をせずに夢が叶った人と 努力をしても叶わなかった人

たとえ僕は叶わない人だとしても この足を止めはしないだろう

 

いつか誰もが驚くような奇跡が この身に起きたとしても

きっと僕だけは驚きはしないだろう 起こるべき奇跡が起きただけさ

 

祈りよ届け

 

 

「PRAYING RUN」/UVERworld

 

歯を食いしばりながら、泣きながら、勉強しました。

 

一年間そうだったように、1人で立ち上がり、歩き始めました。

 

何度も無理だと思った。死んでやろうと思った。

 

でも、自分を変えたかった。自分に勝ちたかった。

 

最後の2週間は、風のように過ぎ去りました。

 

阪大入試当日。

ついに来た。

 

阪急石橋駅。あこがれの阪大生たちが集まる場所。

 

駅からは受験生の行列。

 

センターの時と違って、全員自分より賢く見える。

 

いや、実際ほとんどが自分より格上だっただろう。

 

それでも、やるしかない。

 

自分を奮い立たせて、阪大坂をのぼる。

 

雄大なキャンパス内は、いつ訪れても鼓動が早まる。

 

「俺は今から阪大を受験するのか」

 

1年前からは考えられなかった。

雲の上の存在だと思っていた。

 

”天才”に生まれ、英才教育を受けてきた、限られた人間でないと受験すら許されない学校だと思っていた。

 

その雲の上に、平凡な自分の手が、届こうとしている。

 

「あと一歩だ。もう少しだ。」

 

試験開始直前まで詰めれるところを必死に詰め込んだ。

 

試験が始まってからはあっという間。

 

手汗を何度もぬぐいながら、食らいついた。

 

数学。

 

自分でもそれと分かるほど大幅な易化。

1問完答したものの、2問目で致命的な計算ミスをしてしまった。

易化の年はミスが命取りとなることは十分分かっていたのに。

実力不足、基礎の軽視が招いた結果だろう。

 

英語は、自由英作文でまとめきれなかった。

 

国語は、いつも通り。

 

おそらく結果は当落線上だろう。

 

下りの阪大坂は、来た時よりも短く感じた。

 

終わったもの。

終わった。

 

一年間が、終わった。

 

帰りの電車内も、家に着いてからも、まさに魂が抜けたように、ただ茫然としていた。

 

勉強から解放された途端、何をすればいいのか分からなくなって、暇を持て余す。

 

後期試験を控えてはいるのだが、行きたくもない大学のために勉強する気は起きなかった。

 

ましてや、後期の大学はボーダーを128点も上回っているのだ。

 

今はただ、合格発表の日が1日でも早く訪れはしないかと、落ち着かなかった。

 

そして、もう一つ終わったものが。

 

前期試験の翌日、2/26彼女に別れを告げられました。

彼女は高校からの付き合いで、気配りができて、穏やかで、優しくて、でも心配性で、恥ずかしがり屋で、本当にかわいくて自分にはもったいない素敵な人でした。

 

先に関西の私立に行っても「私も勉強頑張るから」と、何の取り柄もない自分を待っていてくれたのです。

 

私立の1回生なんて、一番遊んで、恋愛もして、楽しみたい時期だったでしょう。

 

そんな彼女をロクに楽しませる事もできず、会うのは1か月に1回あるかないか。

 

連絡もほとんど取らず、勉強の辛さから無視してしまったこともあった。

 

そんなことを続けていたら、見捨てられても当然です。

 

前期が終わるまで待っていてくれたのは、彼女の優しさだったのでしょう。

 

 

 

 

ベンチに腰掛け、何か言いたげな様子でうつむいたまま、黙っている。 

 

そこには、いつもの柔らかな笑顔はなかった。

 

(終わり…か。)

 

そう悟った私は、

「いままでありがとう。これからは友達として仲良くしてな!」

と、月並みな言葉を並べて、明るく振る舞う事しかできませんでした。

 

笑顔で、スッパリと受け入れることが、これまでの彼女の優しさへのせめてもの恩返しだと思った。

 

後は他愛のない会話に、取り繕った明るさで言葉を返すことに精いっぱいでした。

 

二人とも笑顔で手を振り、反対方向へ歩きだす。

 

意図せず振り返ってしまう。

 

艶やかなミディアムロングが、寒空の下、なびいていた。

 

宅浪が落ちた日。

2週間、何もしていない。

 

前期試験を終えたその足で、友人とカラオケに行ったきり。

 

遊びに行ってもいないし、ましてや勉強なんかしていない。

 

シャーペンを握ってすらいない。

 

1年間の疲労と、失恋の痛みを和らげるために、流行りのラブソングを聞いて感傷的になることで手一杯だ。

 

だが、今日はそのラブソングが般若心経のように聞こえる。 

 

般若心経フルで聴いたことないけど。

 

3月9日、合格発表当日。

 

午前1時を過ぎた頃。

 

発表は午前9時ごろらしいが、眠気は一切無い。

 

さっきから何度壁掛けの時計を見上げたことだろう。

 

何をしても時間が過ぎてくれない。

 

「せや、映画見よ」

 

『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ三部作。

 

午前1時頃、シリーズ1作目『ダ・ヴィンチ・コード』

 

午前3時半、2作目『天使と悪魔』

 

午前6時過ぎ、3作目『インフェルノ』

 

午前9時前、完璧な時間調整に成功するも、8時台になってからは映画の内容が頭に入ってこない。 

 

ここからスマホ連打タイム。

大学のHPをひたすら更新する

 

8時58分 ポチポチポチポチポチポチ

8時59分 ポチポチポチポチポチポチ

 

スマホをタップする速度を鼓動が追い越していく。

 

9時00分 ドクドクドクドクドクドク

9時01分 ドクドク・・・

 

[アクセスが集中しています]

 

9時03分 ドク・・・・

 

[合格者受験番号]

(俺は430359

  ・

  ・

  ・

430350

430352

430353

430357

430361

430362

  ・

  ・

  ・

 

 

 

 

何度も、何度も、番号を見返した。

 

受験票とスマホを、視線が行ったり来たり。

 

どんなにひいき目に見ても、数字という記号は、曖昧さや感情の入る余地を一切与えない。

 

心臓の音がしばらく聞こえなくなった。

 

視線は中空の一点を見つめて止まる。

 

静寂の子供部屋。

 

カーテンの隙間から漏れ出る朝日が片目を射す。

 

30秒か1分ほど後であっただろうか、消えていた鼓動が、濁流のように押し寄せてくる。

 

あらゆる感情と、走馬灯を見た。

 

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「中途半端な人生を辞める!」

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「あんたの好きなようにしなさい」

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「模試代くらい出してあげるよ」

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「池野、来るかなぁ」

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「賢明、怜悧な頭脳の持ち主だったのだ。」

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「私も資格試験1発で受かってみせる!」

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スマホの画面が暗転した。

 

 


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合格最低点に2点及ばず、不合格。

 

宅浪失敗記 完結

 

 

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