初めてタバコを吸った。
キャスターの五番?
父親のを1本パクって自室でコソコソと。
喉を焼くような感覚で思わずむせた。
マジでむせるんやな。
この2、3週間嫌なコトが重なりすぎた。
バイトはダルいし学校も暇やし。
将来の夢が父親に絶たれた。
今流行りの毒親?
いや、虐待紛いの暴力でしか教育できないクソ単細胞。
半分ほど吸った。
煙に少し慣れてくる。
一瞬頭がフワッとクラつく。
束の間の快感。
生きがいだった部活でも部員が不祥事起こしやがった。
彼女との連絡が疎かになって、ケンカに。
女って面倒よな。
男をアクセサリ代わりに、インスタがどうの、ツイッターがどうの。
プレゼントの自慢をし合って、つまらん優越感に浸って。
おれはお前にプレゼントしてるんやぞ。
っていう自分も周りに見られて恥ずかしくないように、必要以上に高価で派手なプレゼントを選んで。
結局自分も周りの目を気にして、プレゼントもデート先も、言葉遣いも。
この世に2人だけなら幸せなのにな。
火が手元まで上がってくる。
あれだけ嫌いだった、21年間、嗅ぐだけで心を蝕んだキャスターの煙を、父親を、自分のモノにできたようで心地よかった。
幼い頃よく見たように、空き缶のフチで火を消した。