前回までの凡人就活
就活生にとっての必須イベントとも言える合説はいちゃもんをつけてブッチ。相変わらずダラダラと何もしない日々を過ごし、初めて申し込んだインターンの当日に。3回生7月の出来事。
そもそもインターンとは
インターンシップって聞いて、どんなことをするのかピンときますかね?
チョー簡単に言えば、「職業訓練」です。
しかし、現在の日本で行われているインターンシップは、発祥である欧米のそれと比べて、少し性格が違っています。
欧米におけるインターンは、文字通り職業訓練。
学生研修生として企業でスキル・経験を積み、基本的にはその会社に将来雇用してもらうためのステップになっているのです。
学校の教育実習生を思い浮かべてもらえば分かりやすいでしょう。
一方日本では、このような本来的な意味でのインターンシップを行っている企業はあまり見られません。
あっても外資系か、日系でも大手やメガベンチャーくらいなもののように感じます。
しかし、就活アプリをインストールしてもらえば分かりますが、登録している企業のほとんどがインターンシップを実施しているのです。
では、彼らはインターンでどのようなことを行っているのでしょうか。
現在の日本では、中小企業の実施しているインターンのほとんどが「職業訓練」ではなく、「職業体験」もしくは「企業説明会」のような内容になっています。
「職業訓練」には数か月~数年が必要となるのは、想像に易いでしょう。
ですが、日本の多くの企業が実施しているインターンは、半日~3日くらいがほとんど。
そんな短期間では、戦力になるスキル・経験を積むことは到底不可能ですね。
では、何のためにインターンをやってるかというと、宣伝と学生の囲い込みのためです。
日本型インターンの中でも最もお手軽でオーソドックスなのが「1dayインターン」。
その名の通り、1日だけのプログラムです。
具体的にどんなことをするのかというと、
企業紹介ビデオ+プレゼン
↓
質疑応答
↓
グループワーク
↓
社員との座談会
みたいな流れがテッパンです。
そうです。やっていることはただの企業説明会なんです。
ただ、インターンに参加すると、早期選考に案内してもらえたり、その後の選考に有利になったりすることが多いので、学生側もこぞって参加するわけですな。
実際に、私は4社のインターンに参加しましたが、そのうち3社は早期選考の案内があり、2社から内定を頂いています。
ふ~みんとの出会い
さて、私が人生で初めて申し込んだインターンのお話をしましょう。
第一話でも書きましたが、人生初のインターンは地元の商社。
商社が何をやっているのか分からないまま、「カッコよくね」っていう理由だけで応募した企業でした。
後になってそんな無知な自分が恥ずかしくなり、「インターンで無能扱いされたらどうしよ…」と、不安でガクブルでした。
初夏、慣れないネクタイに悪戦苦闘し、こちらも慣れない革靴で、汗だくになりながら出発したのを覚えています。
凡人学生はスーツを着て会社のビルに入ったことなんて無いもんで、めちゃ緊張してました。
「人事によって自分が精査される…」
ビビっていた自分を出迎えてくれたのは、眼鏡をかけたふくよかな男性。
容姿はwakatteTVの高田ふ~みんと瓜二つの彼。
「ヤメロオマエ」
心の中のびーやまが突っ込みそうになりましたが、外見とは裏腹に、柔和で親しみやすい雰囲気で、学歴なんてかけらも気にしそうもない人でした。
キレイなふ~みんの笑顔に緊張少し解けたところで、会場となる自社ビルの一室へ。
どうやら自分が最後だったようで、すでに他の学生が数名先に座っていました。
参加者は自分を含めて4人。女性が1人。
どうやら彼らも緊張しているらしく、不自然なほど直角に腰を伸ばしている姿を見るとなんだかほっとしました。
席に着くと、アンケートを手渡される。
これもインターンにありがちなもので、内容は軽い自己紹介や志望業界、インターンを知ったきっかけなど簡単なものでした。
その後は何ともない会社説明会でした。
ビデオを見せられ、軽い質疑応答と世間話。
そもそも商社とはどんなものかというところから解説してくれたので、まったく知識の無い状態でも気軽に参加できるのが夏のインターンシップなんだなあ、と。
人事部長の真意
その後の歓談で、五十代の人事部長とお話しました。
彼は大手化学メーカーの営業でトップを走り続け、部長職を経験して移籍してきたという。
口元に髭をたくわえ、ネクタイはこだわりの見える幾何学模様、いかにも高価な皮のペンケースと年季の入った手帳。
かなりの風格で、ふ~みんのペコペコ具合からもその発言力の高さがうかがえました。
「なんでも聞いていいよ」
というので、私はその会社に興味があることをアピールするために、
「普段の具体的な業務内容と、力を入れている事業を知りたいです」
と聞くと、
「うちの(会社)ことなんかを知りたいの?」
と、一言。
「え、、インターンにきて、あんたの会社のこと以外何聞くねん」
混乱している間に「一応答えるけどね…」みたいなテンションで話してくれましたが、まったく頭の中に入ってきませんでした。
「おれ、何かとんちんかんなこと聞いたかな…」
評価を下げてしまったかもしれないという焦りと、間違いの原因が分からず、頭の中は渋滞。
「いい会社はどうやって見極めればいいですか?」
混乱する私を横目に、女性が質問を投げかけました。
すると人事部長は少し微笑んで嬉しそうに語り始めました。
「あなたはどんな企業がいいの?」
彼女に対する深堀が始まりました。
その後も和やかに会話を続ける二人。
この企業へは半年後に面接を受け、結果的に内定を頂くことになるのですが、そこで初めて彼の真意が分かることになります。
企業が学生に求めること
これをご覧になっている方が受験生か、大学生か、オッサンかオバハンかは分かりませんが、企業は面接を通して学生の何を測りたいのでしょうか?
即戦力になりうるスキル?
学力?
論理的な考え方?
実は、企業が一番知りたいのは「人柄」なのだとか。
意外じゃないですかね。
「人柄が企業の風土に合っているかどうか」
はもちろん大事。
しかし、それが企業にとって最も重要な要素だとは思いもしないですね。
とかく学生は自分のスキルや将来性を気にしがちです。
人間関係構築能力だの、語学力だの、資格だの、そうしたことを「アルバイトの経験から~」「サークルで~」とか、必死にアピールしようとするのです。
もちろん、そうしたスキル面や専門性を最重要項目に置く企業や業界はあるのでしょう。
しかし、企業人から見ると、なけなしの経験を取り繕って、持ってきた台本を朗読する学生を見ると、実力に見合わず背伸びしていることは一目瞭然で、人間性も見えてきません。
与えたい老人、ウケたい学生
「力を入れている事業を教えてください」
はじめてのインターン。
馬鹿にされまい、好印象を与えよう、有能さをアピールしよう。
私の質問には、そうした打算的な姿勢が見え透いていたのでしょう。
人事部長は最近の学生がどれだけ不勉強なのかということを知っていました。
事実、私は商社がどんな機能で、どのように儲けているのかということさえ知らずにインターンに参加していたのです。
それが良い、悪いではなく、事実として受け入れず、自分よりもはるかに目上の人間の印象を操作して、意のままに操ろうという姿勢があったことが問題だったのです。
相手は大人なんです。
無能な鷹が爪を見せびらかしても、ビクともしません。
だから、バカはバカらしく、素直に接しなければいけないのです。
そうしないと自分の人間性を知ってもらうことはできません。
「無知な学生が一企業の事業内容を聞いたところで、何か就活の指針となるようなことは得られない。」
そう思ったのでしょうか。
インターンの終わり、人事部長はこう仰いました。
「あなた達はちょうど私の子供や甥っ子と同じくらいの年齢です。だから、ついつい世話を焼いてしまいたくなるのです。就活を通して、自分にとって何が大事なのか、考え抜いてください。そうして何か分からないことがあれば、いつでも聞きに来てください。人も紹介します。」
年老いた人は何かを与えることに無上の喜びを感じるそうです。
到底引っ掛かりようもないオレオレ詐欺に簡単にはまってしまうほどです。
人事部長を老人扱いするのは失礼でしょうが、彼もまた、無知な自分たちに何か与えたいと考えていたのではないでしょうか。
自己(会社)の利益よりも、学生が何か就活や人生において何か大事なことを持ち帰ることをのぞんでいたのだと思います。
インターンシップにおいて、学生は背伸びして人事のウケを狙うよりも、大先輩の教えを受けようという素直で真摯な姿勢が自分にとっても、相手にとっても有意義なコミュニケーションになるのではないでしょうか。
はじめてのインターンは、自分の無知さと尊大さとを思い知らされる、苦い経験になりました。
暑かった。
今回使った資料元は↓
リクルートの調査で、いろんな数字がまとめられていて面白いので、読んでみてね。
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